
CRYSTALiAさん最新作、ディメンション凸ラバース!!の感想記事となります。
ネタバレ多数、好きな点だけでなく、気になった点もふくめて思ったことを素直に書いていきますので、ご注意ください。
★好きなとこ
〇ド派手すぎる能力を、きちんと頭脳を活かして描いてるところが最高。

本作は、少年漫画顔負けの熱い戦闘描写が魅力の大きな1つだった。
能力バトルもののなかでも、最序盤から能力が「強すぎる」「派手すぎる」「トリッキーすぎる」ものがバンバンでており、これらの能力をきちんと活かして物語を描くなんて大変そ~と思ってたんだが、その期待のハードルを越えてくるものが多く、ワクワクしたな。
とくに、能力を柔軟に解釈することによる拡張性が、キーであったと思う。
例えば
・薔薇の盟約は条件である「傷つく」では「友達が傷ついたら私だって傷つきます」と傷つくの解釈を広くとったところ。
・ダンスノーツの「吹き飛ばす」では、森道の中に隠れていたマシューを吹き飛ばすところ。
・瓦礫を見ろの「停止」では、肉体にかかる現実性の変動のみを停止したところ。
・そしてなにより赤刀。赤刀そのものでは相手を傷つけることができないが、上記画像のもそうだけど、拡張性の面では特に広く、ありとあらゆるでたらめな挙動が許されていたと思う。戦闘中に主人公の生首を蹴っ飛ばすシーンおもろかったな。
鮮血に変える、に関しても、「粒子間を切り離す」ことによるもの、と説明をされて納得はした。主人公の手紙と祈りと組み合わせることによる図書館への侵入は、能力と能力の掛け合わせとしても見事で興奮したね。
このように、能力で「なるほど!」と思わされるところが多く、それに伴って、戦闘においても頭脳戦が光るものが多かった。
この作品の戦闘は、パッションと頭脳のバランスが絶妙だったと思う。
個人的にこの作品で思わず「すげぇ」と思った戦闘TOP3
3位
桧木VSマシュー(桜ルート)

マシューを倒すための桧木の覚悟。
そして、気づいたときには、もう死に戻り対策も含めて、交えることすらなく戦闘は終わっていた、というのは、魔術師の大家崩月家の長としてこれ以上ないカッコよさだった。
2位
華淡、回転木馬(グランドルート)

まず、華淡ルートにおける回転木馬が好き。「切り離す」を数十万年の時を過ごしたことにより、第3の能力として、「時間を切り離せるようになった」というのが、ただでさえハチャメチャであった赤刀の最終到達点として最高だった。
そして、グランドで塊が奪われた際、「いつだって。絶望的な状況に笑って切り込むのが、海漫華淡という少女だった」で真っ先に華淡が塊のために飛び出し、大獄と協力をして、回転木馬を再現して宇宙の時間をバラバラにして戻す。
アッチイ~~~~~~
1位
塊VS清楓、ダンスノーツによる手紙と祈りの発射(水仙ルート)

この「手紙と祈り」を、能力として活かすんじゃなく、ただのペンとして、飛び道具としてダンスノーツで射出した瞬間、まじで震えた。
手紙と祈りは、能力としてあまりに破格の性能をしていたと思う。その利便性にみあうほどの、能力面での魅力的な戦闘は、全戦闘を通して正直なかったなと思う。
しかし、能力が凄すぎるからこそ、能力じゃなくただのペンとして使ったこのシーンをみたときに、「やられたわ」と思わずうなった。
〇Hシーンまで含めたテンポの良さ

非常にサクサクと読めるテンポ感が本作の誉め言葉としてよく見受けられるが、個人的にその良さを一番実感したのが、Hシーン。
エロゲあるあるの「Hシーン」いりますか問題。
自分は、シナリオに集中しているとき、長すぎるHシーンが挟まると、集中力が途切れてしまうので、ぶっちゃけ飛ばして後で見ることがある(すまん)。
でも、本作は1つ1つのHシーンが、短いが濃密であり、シナリオのアツイシーンでHが挟まったとしても、(時間も短いことがわかってるし、内容も超エロイから)「飛ばして~」って思うことが1つもなかったのが個人的にすごく評価が高い。
★各ルート感想
攻略順は、ディレクターおすすめ攻略順であった
華淡→水仙→ソフィア→桜→グランド
でやったが、ぶっちゃけた話をいうと、この順でやったことをすごく後悔している。
たしかに、ソフィアのエピローグにはシステム大獄の話がちょろっとでてきたりなど、シナリオの整合性で鑑みると、このおすすめ順でやることが一番わかりやすいのだと思う。
華淡は、全ルートのなかで、一番スケールがぶっとんでいるシナリオだった。自分は好きだった箇所に、第一に能力・戦闘について述べるぐらい、本作ではそこが一番刺さった要素だったわけだ。特に能力の拡張性という点に関しては、華淡ルートのはっちゃけ具合は他を抜きんでている。そんな自分にとっては、華淡からやったことで、他ルートのその要素の魅力が、比較の結果薄まったことに、萎えている。
また、グランドルート冒頭の、本作のキャッチコピー「世界を救ってほしいんだ」が「カイマンカタン」である興奮を、華淡ルートを終えたあとすぐに味わえたほうが、より興奮できたとも思う。
(推奨攻略順でやって後悔したのなんてはじめてだ。)
もし記憶を消してもう一度この作品ができるなら、
水仙→ソフィア→桜→華淡→グランドの順でやると思う。
〇華淡


・華淡は、反現実や怪獣に対し、敵対や(利害関係による)手を組むではなく、「手を差し伸べて、友達になれる」ヒロイン。
だからこそ主人公も「手を差し伸べることができるんだ」と大獄と友達になるし、魔術を科学にし反現実への対抗手段を世界のみんなに差し伸べれるようにした。
華淡ルートは何度もいってる通り、とにかく規模がぶっとんでる話であるが、そのなかでも、上記のストーリーの軸がきちんと一本通っているのが、美しかった
・「無限の世界」での話は、いわゆる5億年ボタン問題に通ずる思考実験に近いものがあり、そのなかで文明を1から作る、はあるあるなわけだけど、文明発達や脱出時のコールドスリープ方法が、プラチナ化+分割による合体待ちなのが、お互いのBEGを掛け合わせた方法なのが、特にGOOD。脱出方法自体についてはだいぶパッションよりであり、そりゃ疑問は残るけど、ここまでスケールがでかいと、気にならなくなる。

・知識の探求ばっかしてた主人公がヒロインとの幸せを望むということについて、一番言語化面で、ストンと納得できたのが個人的にはこのルートだったように感じる。すなわち、「知識をずっと求めていたのに、ヒロインと出会ったことで、好きな人との日々の幸せということすら自分は知らなかったということを知る」というもの。
・BEGの覚醒の、赤刀の回転木馬の好きさ加減は、すでに語った通り。それに加え、ダンスノーツの「反現実性の反射」も、好き。というのも、ダンスノーツは桧木の「守りたい」の想いから生まれたBEGであり、この反現実性の反射はこの守りたいという意思をきちんと引き継いだアップデートであるから。
〇水仙


・個人的に、渋い戦闘をたくさんみれたことが好きだったルート。
・戦闘に関して、一番好きな戦闘である塊VS清楓に関してはすでに述べたとおりであるが、桜&ソフィアVS桧木による「能力の相性」もすげーよかったな。桜のBEGの単体性能はあまりにすごいわけだけど、戦闘においては相性はどうしてもあるわけで、スペックだけが勝負の決め手じゃない、というのを描いてくれるのは能力バトルものとして大好きだ。
・クローンに関しては、魔術師ということもありどうしても橙子を想起してしまうが、自分のクローンだけじゃなく、ほかの家族の培養器もあったところが、清楓だからこそだなと思った。

・クローンでおわりがない相手に対し、扉の怪獣を利用する、という解決策もお気に入り。
・個人的に一番好きなキャラは清楓かもしれない。魔術師が目指す真実への到達とはまた違う、「自分が笑う」を突き詰めるスタンス。そして「本物の清楓」の家族に向けた笑顔。たどり着いたじゃねえか。


・水仙のルートは、ギャグの面でもお気に入りのものが多い。
「出られない部屋」を出したとき「さすがに卑怯だろ笑」と思ってしまった。
その明らかにギャグな描写から入ったのに、この怪獣によって、
①「水仙の望みで生まれた塊が、迷いなく自分を殺して水仙を外に出す」を描いて主人公のかっけぇところを見せたり
②前述のとおり清楓との戦闘の締めとしても重要な役割も果たさせたり
と、シナリオでの活用の仕方がすごかったよな。
・このルートでは、清風がなぜ羽鳥を逃がしたのかや、清風の彼女と羽鳥の関係などは語られず、グランドで語ることになる。
〇ソフィア


・ソフィアが「かしまさん」の件で主人公の秘密を知ったことを、あえて隠していて、それがソフィアルートのキーになることはわかりきってる流れだったけど、それを明かすときのセリフが大好きなんだよな。
『なんで助けてって言えないのよ』と主人公が打ち明けることをずっと待っていた。
そのなかで『舐めている』『あなたは、私の誇りを、傷つけた』と、ソフィアの覚悟と信念を踏まえた上で、主人公が明かしてくれなかったことの悲しさを述べるこの一連のセリフは、名セリフだったな。
上記CGは、この作品でのヒロインの発言のなかで、一番心つかまれたものだった。

・物語の後半では、『助けて』を言えた主人公と、言えなかった羽鳥。の構図となり、そんな羽鳥に『助けて』を言わせたストーリーだった。
橙の心臓の奪取については、取り替えっ子強すぎだろと思ったが、橙の心臓が教団の目的上必要というだけでなく、心臓を奪うことで主人公が崩月家から解放されるため、主人公は羽鳥に救われていた、という構図が綺麗。
この友情による助け合いが魅力的なルートだったから、最後の異世界行きを、主人公と羽鳥がそれぞれお互いを助け合って、のくだりが染みたな。

最後の藍の心臓の返却での一幕。主人公の心臓は羽鳥と変えられてて、羽鳥に橙の心臓があったはずが、そのあといつの間にか出されて墓守が異世界にもってってたというの、ここで明かすまで知らんかった。じゃあ羽鳥はかわりに人工心臓いれたり、墓守と心臓交換してたってこと?
〇桜


・このルートで一番好きなのは、このくだり。
主人公も桜も、いままで自分の意思で決めるということがない点で似ている2人だった。そんな2人が唯一自分たちでつかみ取ったのが、この愛だと思ってた。それなのにその「出会いもしくまれていた」というのが、今ルートの重すぎポイント。
しかし「自分たちでつかんだ物が、自分の意思じゃなかった」という絶望を、この言葉が消してくれる。ここでもう1段階出来事をつくらず、即座に桜がこの言葉を投げかけてくれるからこそ、桜が最強たる所以を感じた。

・中盤までの、桜との日常会話の語句が好きなものが多い。
上記スクショであったり、『猫が常駐する』であったり、桜とこの主人公のコミュニケーションだから出る独特の語彙センスが、癖になる。
・後半は桧木の人となりが詳細に明かされる。桧木が「いかに魔術師らしくないか」がわかるたびに、桧木に惹かれる自分がいた。
・桧木が主人公を無理に仲間にしなかった箇所に関しては、パッションでは納得するけど、冷静に理屈としてみたときには個人的にはひっかかるポイントだった。
好奇心だけで行動してたときなら主人公は桧木について過去に一緒にいってた。でも過去に飛んで全部やり直すのは、『友を、家族を、恋人を。踏みつぶせる人間でないと、ここから先には行けぬのだ』。
うーーーん。「愛を知らされて、それでも信念のために愛を踏みつぶせる人間じゃないとだめ」というのが、パパによるセリフと感情だけの提示であって、理屈上、好奇心だけの主人公と過去に飛べばいいじゃんとしか思えない。
・もともと「白の心臓の破壊」が目標で地下に向かったが、できそうにないことが判明したので、あきらめて、その後パパとの戦闘となり、ルートがおわる。
この列車周りの解決はグランドでの問題となるため、仕方がないわけだが、このルートでその後の白の心臓や列車についての話が特段なにも出さないままエピソードが終わったのが、だいぶまとまりがなく、グランドの下地ということを一番感じるルートだったなど、個人的には不満に感じた。人間の魅力はかなり出まくっていただけに、シナリオ進行として納得いかなかった。
個別ルートを好きな順にならべると、
華淡>水仙>>ソフィア>桜
〇グランド

・カイマンカタンからの接触で物語がはじまるのは、わくわくが凄かったな。こんな方向性の「強くてニューゲーム」なやり方、ありなんだ。大好きです。
サックサクとストーリーが進行していくのも、主眼は最終局面なんだから、こういうグランドの描き方もアリだよなと。
・いままで敵サイドに回ってた人たちも含め、全員で共闘!は、まさに王道。こういうのを見たかったんだよ、を見せてくれたグランドだったな。
・ただ黒車掌の正体は、もう少しわかりにくくしててほしかった。声と見た目で、桜に関係するものと最初からわかりきってたから。別次元の桜、というのがもっとわかりにくい状態で明かされてたら、正体が判明するシーンで脳汁が出ただろうに、もったいないと思ってしまった。
〇さいごに

本作はいい意味でも悪い意味でも優等生な作品だったなと感じる。
キャラゲーの魅力も、エロの魅力も、アクションシーンの魅力も、シナリオの要素も。こういう「ノベルゲームのありとあらゆる夢と詰め込んで、しかもテンポよくまとめ上げた」という点で素晴らしい作品ではあるんだが、そのすべての要素が70~85点だったな、と終わったあと感じた作品だった。
不快になるところがない、サクサク最後まで読めた。
ただ、「1年後には好きな戦闘以外のことは自分は忘れてそうだな」というのが率直な感想となる。
(要素がたくさんあるということは、人によって必ず刺さるポイントがある作品ということでもあり、万人に受け入れられる点で名作である。自分は、本作では能力・戦闘のところが一番ビビっときた)
あとは、これはこちまつの時からも思ってたけど、「それ言いたいだけだろ」系のものが多すぎる。たとえば「23種類の眷属化」を出しても主人公がそれを絡めてこなかったり。なにより専門用語。一例として、容器に「チェンバー」という名称をつけてだしたのに、このゲームでの登場はたしかそれ1回きり。
こういう世界観ねりまくりで、いろいろ設定や用語を出したいぜ!というパッション自体は好きなんだが、せめて出すからには物語上その用語を披露する必要があって、その出した用語を読者に覚えたいと思わせてくれとなった。
ただ、こちまつのときはそれが原因で読むのがつらかったんだけど、このゲームではTIPSでの補足がUIも含め丁寧で読み進めやすくはしてくれてたから、気にはなっても読み進める手を止めることにはならなかったのが、偉大だった。世界観が共通していることもあって、このゲームを楽しく終えることができた今なら、こちまつの読書体験も初見時とは変わってきそうと思うので、こちまつを読むのが楽しみになった。
気になった点も素直に書いたけど、ずっとやってて楽しかったな~となるいい作品だった。
Neko Hackerさんの曲が好きで、それがきっかけで本作を知ったので、出会いに感謝だ。
youtu.be
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おわり。